伊寧駅
朝から停電だ。外に出ると周辺も停電しており携帯電話の基地局だけ発電機を動かしている。昼頃、近くのスーパーでインスタントラーメンを購入する。
西域なので牛肉や羊肉の味付けをしたイスラム教徒向けのインスタントラーメンも出回っている。パッケージもウイグル語でも表記されているので西域の雰囲気満点だ。
13:30頃、ユースホステルをチェックアウトする。林則徐紀念館まで歩いて、17路のバスに乗車する。運賃は1元だ。14:10頃、伊寧駅に到着する。列車の発着は19:00以降にならないとないので人は少なく静かだ。
駅へ入るには、まず公安の身分証確認があるが農民工のおっちゃんばかり通って単調な仕事のところに日本人なんかが来たので公安が急にやる気を出してパスポートを入念に確認している。カンボジアのビザを見て「カンボジアへ行ったことあるのか?」とか質問してくるが、どうも仕事とは関係なく個人的興味で質問している様子だ。公安は各国の出入国スタンプを確認している中で中華民国のスタンプを見て動きが固まる。どうも中華民国のスタンプは大人の事情で色々あるらしい。
公安の身分証確認が終わり切符売場へ向かう。切符売場の入口で公安による手荷物のX線検査があり液体の爆発物にも警戒しており検査時に水筒の水を一口飲む。切符売場は窓口が1つしか開いていなかったが列に並んで10分ほどで順番が回ってきてネットで予約した伊寧→ウルムチ南、ウルムチ南→カシュガルの切符を受け取る。
ウルムチ南→カシュガルの切符は発券手数料5元かかるが、前回ウルムチ南駅での切符受け取りで行列の長さと姓名の漢字表記に因縁を付けられ苦戦を強いられたので、今回はウルムチ南駅での切符受け取りを避けて伊寧で先に発券しておく。伊寧では漢字表記で問題なく発券される。
始発駅以外での発券なので発券手数料5元支払うが、窓口のお姉ちゃんが手数料の領収証と一緒に払った5元を渡してくるので、5元ちゃんと払っておく。所構わず痰吐いたりするのおサルさんなら、そのまま知らない振りして立ち去るだろうな・・・。
14:30に待合室へ移動。待合室の入口で、公安の身分証と切符の確認、手荷物のX線検査があるが特に問題なく待合室へ。公安が無駄に多い。これほど公安いないと治安維持できないのか?これから乗車する列車は19:41発車のホルゴス発のウルムチ南行き5816次だ。運賃は75元で席は硬座だ。明朝にウルムチ南に到着する。
昨日、5816次でホルゴス→伊寧を乗り鉄する予定だったがカザフスタンから中国へ戻るバスが遅く間に合わず乗車できなかった列車だ。4時間ほど待合室で待機となるが待合室はほとんど人がおらず農民工のおっちゃんたちが横になって寝ている。
18:00頃になると徐々に乗客が駅にやってきて混雑し始める。入口の手荷物検査には列ができている。18:45頃、改札の準備で待合室の一部が封鎖される。
19:10頃、改札が始まるが待合室の区画ごとにホームへ向かう方式で自分のいる区画が一番最後にホームへ行く区画であった。これはまずい!荷物棚が確保できない危険性が・・・。
鉄道で伊寧→ウルムチ南
19:20頃、乗車して荷物の置き場所を探す。少し離れたところであるが何とか荷物の置き場所を確保する。
荷物棚にある荷物の様子(尿素袋とか)から乗客のほとんどは農民工のようだ。というか、自分の足下には生活用品の入ったバケツが2つあるし・・・。通路には裸族が歩いている。夜行列車で硬座なので予想はしていたが少々レベルが高い列車のようだ。おまけに車内の標準言語が中国語だ。中国語と言っても方言なので全く分からないが・・・。ウルムチ南→伊寧のT205次は少数民族の言語が標準語であったが、5816次は伊寧へ出稼ぎに来ていた中国人が帰郷するためだか、次の出稼ぎのため乗車しているようだ。まあ、農民工列車ということだな。
19:41に定刻通り列車が発車する。伊寧を出ると徐々に建物が少なくなり景色は畑に変わり、21:00頃には草原に変わる。そして、山岳地帯へ入っていく。西の辺境なので外はまだ夜ではなく明るく夕方だ。
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
食費 | 19.4元 | |
バス | 1元 | |
発券手数料 | 5元 | |
合計 | 25.4元 |
モラル無しでカオス度MAX
日付が変わり精河を過ぎた辺りになる。列車内のカオス度は高く色々とやばいレベルだ。
特に洗面台はカップ麺の容器などのゴミ山と化している。乗務員は掃除せずに放置だ。もはや人が乗る列車とは言い難いが、ある意味で安定の中国とも呼べる。色々な意味で決して期待を裏切らない。
05:45頃に目が覚める。まだ夜は明けていないがウルムチ南駅まで1時間弱で到着だ。まだ寝ている乗客が多いうちにトイレへ行ってウンコしておく。06:00頃、東の空が明るくなり始めて朝のトイレ争奪戦が始まる。朝から緊急事態の乗客はトイレを連打でノックしている。
06:05頃、烏西が近づき乗務員が笛をピーピー鳴らしながら「烏西到了!烏西到了!」と叫んで夢の中の乗客を起こす。
ウルムチ南駅
切符と身分証確認、手荷物のX線検査を済まして待合室へ移動する。まだ、朝の早い時間帯なので人は少ない。朝食に昨日買っておいたインスタントラーメンを食べておく。駅でインスタントラーメンを食べることができるので立派に農民工のおっちゃんたちへ仲間入りだ。
食後はスマートフォンの充電をしておく。中国の駅では広告ディスプレイにUSBコネクタが付いており携帯やスマホの充電ができるようになっている。しかし、USBコネクタが壊れて使えないというのが多い。USBコネクタは規格策定時に強度だか耐久性についても決められていたはずなのだが何故壊れる?世界基準と中国基準には大きな開きがあるようだ。充電だけに使うのに一体どういう風に使ったらUSBコネクタが壊れるのか実際に中国人に実演してもらいたい!まあ、こちらの予想以上、いや期待以上のハードな使い方をしてくれるのだろう!
充電後は駅の外の様子を確認する。駅前には銃剣付きの自動小銃を装備し、防護柵の中で警備する武警がいる。
中国の日常
08:30頃になると待合室はかなり混雑してきた。農民工から旅行客まで客層は様々だが、そこら中から痰吐きと手鼻の音が聞こえてくる。いや、そこら中だけでなく目の前のおっちゃんも大きな音を響かせながら痰を吐いていた。そして、待合室には横になって寝るなの表示があり、すぐ近くではこんな光景が・・・。
日本でも週末の終電間近の難波駅とかでも酔っぱらいの似たような光景が見られるが・・・。今日も安定の中国、絶好調の中国だが、孔子や孟子の教えは一体どこに行ったのだ?中国五千年の歴史と伝統が崩壊している。
ウルムチ南→カシュガル
11:00頃、改札口の先頭を陣取っておく。これから乗車する列車は、12:09発車、ウルムチ南→カシュガルの7556次で、エアコン無しの非空調列車なので運賃が安い。なので、席は寝台の硬臥で運賃は167.5元だ。
11:40頃、改札が始まりホームへ向かい乗車する。非空調なので窓が開けられると思ったらヒモで縛られて4分の1ぐらいしか開いていない。これではほとんど写真撮れねえよ!まあ、ヒモで縛られている理由は大体察しがつくが・・・。どこぞの国のおサルさんが窓からゴミのポイ捨てをするからであろう。困ったものだ。
12:09に定刻通りに列車が発車する。まずは乗務員が切符を換票証へ交換しにくる。
換票証は下車駅の手前で切符に再び交換するので真夜中でも叩き起こされて寝過ごすことはない。
鉄道では天山山脈越えができなくなった
列車はトルファンへ向かい、トルファンで進行方向を変えて天山山脈を越えて行く。ちょうどシルクロードの天山南路に沿ってカシュガルへ向かう。わずかに開いた窓から外の風景を撮影していると同じ車両の中国人の兄ちゃんが話しかけてきた。旅行で初めてカシュガルへ行くとか言っておりかなり嬉しそうに話していた。魚児溝を過ぎていよいよ天山山脈を越えると思ったら、線路が電化され、さらに複線化されている。3年前は非電化の単線だったのだが・・・。
そして、長いトンネルに突入していく。こんなトンネルあったっけ?まあ、トンネルを抜ければ大草原と放牧された馬、牛、羊たちがいる絶景が見られるはずが、トンネルを抜けても乾燥地帯が広がっているだけだ。これはおかしい!18:00頃、和碩に到着。あれ?和静じゃなかったけ?地図を確認すると確かに和碩はあるが線路が表記されていない・・・。
どうやら、やってしまったようだ。天山山脈を越える路線が廃止され、天山山脈をトンネルで抜けていく新路線に変わったことを知らずに乗車してしまった。何てこった!鉄道で天山山脈は越えられなくなっていた。トンネルで抜けるだけであった。新路線の乗り鉄はできたが、これは痛恨のミスである。もう、鉄道で天山山脈の大自然は見られなくなってしまった。よくよく調べたら2015/01/09から新路線での運行が始まったようだ。去年のうちに乗っておけばよかった。後悔先に立たずである。
19:30頃、コルラに近づいてくると砂埃がひどくなってくる。砂埃が入ってくるので窓を閉めたりして車内は蒸し風呂状態で暑い。タクラマカン砂漠へ近づいている証拠だ。20:00頃、コルラに到着するが外はまだ明るい。
天山南路を西へ走る
07:30頃、目が覚める。昨日は蒸し風呂だった列車内は涼しく快適だといいたいところだが、タクラマカン砂漠の影響で砂埃がひどい。そして、すでに朝のトイレ争奪戦が始まっていた。トイレ前は行列でしばらくは使えそうもない。
07:50頃、巴楚に到着し、トイレに鍵がかけられる。中国ではほとんどの列車はトイレが垂れ流しなので駅停車中は使えないように到着前に鍵がかけられる。でないと、駅の線路がウンコだらけになってしまうからだ。高速鉄道や25T客車とかの最新の車両はタンク式なので駅停車中でもトイレは使える。約15分の駅停車でトイレ争奪戦は一時休戦となりトイレ前から人がいなくなった。駅のトイレにでも行ったのか?人がいなくなったので先に並んでトイレが開放されるのを待つ。
08:03頃、列車が発車してトイレがの鍵が開けられる。ようやくトイレが使えると思ったら便器の中には大盛りの中国式カレーがあるよ。ウンコ流せよ!ウンコ流してから、ようやくウンコできるが、何やらドアを連打でノックされる。どうやら緊急事態の乗客がいるようだ。緊急事態なのはわかるが、こちらも出す物を出してからでないとトイレからは出られない。
そして、連打でノックだったのが連打でドアを強く叩き始めた。どうやら、相当危険な状態らしい。こちらも出す物出したしトイレから出る。もちろん、ちゃんと水で流している。トイレ前は5人ぐらい並んでいた。朝のトイレ争奪戦は要注意だ。
カシュガルの手前になると荒れ地の風景から変わりブドウ畑や小麦畑が見られるようになってくる。
カシュガル
駅前には装甲車と自動小銃を持った武警が警備しており雰囲気が重い。駅前には新たにバスターミナルが建設中で来年辺りには運用開始か?
まずはバスで老城区へ移動しなければならないのだが、お約束の大混雑が待っている。まあ、ここは急ぐ必要はないのでバスを4本ほど見送る。
誰も並ばず我先にと無理にバスへ乗車しようとする中国伝統の光景を見物してから、12:25頃、後から来た28路のバスに座って移動する。運賃は1元でエイティーガールモスク(老城区艾提尕尔)で下車する。
カシュガルパミール青年旅舎
13:00頃、モスクの隣にあるバザール3Fのカシュガルパミール青年旅舎に到着する。今回はYHA Chinaで予約せずeLongで予約しておいた。同じ料金でもeLongはキャッシュバックがあったからだ。部屋は8人ドミトリーで1泊40元、今回は2泊する。エイティーガールモスクの隣で立地は申し分ないのだが、共同のトイレ・シャワーにいささか問題ありだ。やや失敗した感がある。
14:00頃、エイティーガールモスク近くの伊合拉斯超市で特売品の緑茶の飲み物を購入。480mlで1.9元だ。
ほとんどの客がウイグル族のようなので商品表記も漢字以外の物が多い。
客運南站
8路のバスで客運南站へ移動する。運賃は1元で14:30頃に到着するが、はっきり言って利用価値は低そうなバスターミナルであった。
南バスターミナルはカシュガル近郊へのバスが出ていたが、バスターミナルというよりただの駐車場にバスが停車している状態であった。
カシュガル客運站(天南客運站)
運賃は1元で三中のバス停で下車して、15:40頃、カシュガル客運站(天南客運站)に到着する。カシュガルの長距離バスターミナルだが時刻表は電光掲示板で出ているが雰囲気的に撮影できず。ホータンや葉城行きのバスはここから発車している。
牛肉麺
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
食費 | 14.9元 | |
宿泊費 | 80元 | 1泊40元×2 |
バス | 3元 | 路線バス |
合計 | 97.9元 |