中国で銀行口座を開設して発行されるキャッシュカードですが銀聯(UnionPay)のロゴが付いている。あれも銀聯カードである。銀聯カードは海外のATMでも多く対応しており簡単に現地通貨の引き出しができる。日本でもセブン銀行、ゆうちょ銀行のATMが銀聯カード対応である。今回は海外ATMで銀聯カードを使って現金引き出した時に気付いた点を書いておく。
銀聯カードの海外での引き出し制限
まず覚えておきたいのは銀聯カードを海外で使用する際に1日1万元、年間10万元までの現金引き出し制限がある。ちなみにこれは2015年から始まった外貨規制で外貨準備高の減少や資本逃避、マネーロンダリング防止のためらしいが、これは表向きの理由で本当は人民たちに先進国とかへ行って中国と比べられたくないのでは疑ってしまう。
アメリカやEUとの差を見たら共産党なんか信用してくれないだろうし、小日本なんかへ行ったら毎日見ている抗日ドラマと違って衝撃を受けてしまうだろう。まあ、とにかく土地成金とかの土豪たちに海外で買い物させたくないようだ。
海外ATMの注意点は引き出し手数料
今回使用した銀聯カードは中国工商銀行のキャッシュカードである。自分はキャッシュカードを2枚持っており両方で米ドルを降ろしてみたが手数料に差があった。
まずは1枚目はICチップのない古い牡丹灵通卡である。この青いカードは最初に口座開設した時に発行されたカードで一般のキャッシュカードである。このICチップなしのキャッシュカードは既に発行されておらず、ICチップ付きのカード発行に切り替わっている。
この牡丹灵通卡を使いカンボジア・シェムリアップのカナディア銀行のATMで1000ドル引き出してみた。取引内容を確認するとわかるのだが、ATM取款の欄で米ドルが1005ドル引き出されているが、5ドルはカナディア銀行のATM手数料になる。跨境费で12元が徴収されているが、これは中国銀行などの他行でも同じ共通の海外ATM手数料になる。問題は「费」としか表示されていないが境外手続費で引き出し額の1%にあたる69.41元も徴収されている。他行でも引き出し額の0.5~1%が境外手続費として徴収されている。
そして、重要なのが2枚目の理财金账户商友卡である。理财金账户卡の仲間だと思うのだが北京でICチップ付きのキャッシュカードへ切り替えようとした時に発行されたカードである。見た目からしておそらくゴールドカードみたいなものだろう。
この理财金账户商友卡で同じようにカンボジア・シェムリアップのカナディア銀行のATMで引き出してみるとカナディア銀行のATM手数料で5ドル徴収されているが、中国工商銀行の手数料は跨境费の12元のみになっている。
ただし、「对方信息」に引き出し場所が記載されており、一番上に表示されている「S.R AIRPORT ATM 01 SIEM REAP KHM」はシェムリアップ国際空港のATMを意味しているが、実際はカナディア銀行シェムリアップ支店の前にあるATMで引き出しており情報が間違っている。それに自分はシェムリアップ国際空港へ行った事がない。どういうことだ?
ゴールドカードでATM手数料節約
この理财金账户商友卡だと他の銀行の海外ATMでも引き出し手数料は現地銀行のATM手数料と中国工商銀行の跨境费12元のみになっている。カンボジア以外でタイ、ラオス、ベトナムでも中国工商銀行の手数料は跨境费12元のみだ。
そういえば中国国内でも北京で発行された理财金账户商友卡だと上海とかの中国工商銀行のATMで引き出す際は手数料無料だったな。青いカードの牡丹灵通卡の時はカード発行地の北京以外のATMだと手数料を取られていたな。青いカードが一般で金色はゴールドカードという区分のようだ。
どうやら理财金账户商友卡だと国内、海外のATM手数料に優遇措置があるようだ。そうすると理财金账户卡を持っていた方がATM手数料が節約できそうだが、発行条件を調べてみると20万元以上の預金がないと発行してくれないようだ。
これはハードルがかなり高い。それに中国経済の先行きが不透明なのに大金預けるのはリスクが大きい。自分はさっさと中国から手を引くため海外のATMから外貨で引き出してしまったし・・・。中国各地や海外でATM手数料節約したい場合はゴールドカードを狙って預金してもいいかもしれないですが、この先の外貨規制や人民元の価値がどうなるかのリスクを負うことになる。
まあ、今回は中国工商銀行の理财金账户卡というゴールドカードだと中国国内や海外のATM手数料を節約できるということでした。
銀聯カードをセブン銀行ATMで使う
海外ATMで銀聯カードを使って現金を引き出せるのは自分で試して確認していたが、日本のATMでの引き出しを今までやっていなかった。機会があったのでセブン銀行ATMで試しにやってみた。使用した銀聯カードは中国工商銀行の理财金账户商友卡になる。
なぜセブン銀行ATMで引き出したのかというと、銀聯カード(ICチップ対応)が使えるATMで1回の引き出し金額が1番多い10万円になるからだ。それにセブン銀行ATMはセブン-イレブンへ行けばあるので探すのが楽である。銀聯カードが使えるATMは主だった所で下記のようになる。
ICチップ付きの銀聯カードは1回につき10万円まで引き出し可能である。中国政府の外貨規制の施策で銀聯カードの海外ATMの1日あたりの引き出し限度額が1万元相当に規制されており、2017年現在だと15万~16万円くらいが1日の引き出し限度額になる。
実際にセブン銀行ATMで引き出してみたが、取引結果は上のとおりになる。毎回10万円引き出しているがセブン銀行のATM手数料110円が上乗せされているので日本円での引き出し金額は100110円になる。これに毎回12元の跨境费が徴収されている。銀聯カードがゴールドカードの理财金账户商友卡なので通常の銀聯カードで徴収される境外手続費は免除されている。
2017-05-26作成
2017-09-05更新