列車と座席の種類

ここでは列車や座席の種類について紹介していきます。最低限知っていると中国での鉄道旅行でいくらか助けになると思いますので知っていて損は無いでしょう!

列車の種類

中国の鉄道には以下の列車がありそれぞれ特徴を持っています。

G列車

列車番号の頭にGが表記されており、Gは高速動車組の高速(gāosù)を意味する。
広州南-武漢、杭州-上海虹橋-北京南を結ぶ高速鉄道で運行される。
最高時速は350km。

C列車


列車番号の頭にCが表記されており、Cは都市間高速鉄道を意味する城際動車組の城際(chéngjì)の略。
北京南-天津を結ぶ高速鉄道の京津城際鉄路で運行される。
使用される車両は独シーメンス社のICE3を基にしたCRH3である。
ドイツから3編成が輸入され残りの編成は全て中国製である。
最高速度は350km/hという事であるが、350km/h運転は開業から北京オリンピックが終了するまでしかしておらず、オリンピック以後は330km/h運転に抑えられている模様。

D列車

列車番号の頭にDが表記されており、Dは動車組(动车组の略。
Dは動車組の拼音表記「dòngchēzǔ 」の頭文字である。




D列車の特徴は以下の通りである。

・2007年4月18日のダイヤ改正(第六次大面积提速)で導入された時速200km以上で運行する高速列車。区間によっては250km運転をする。
・座席は一等座と二等座の2種類。
・愛称には”CRH”(China Railway High-speed )と和諧号(和谐号)(héxiéhào)の2種類がある。新聞などでは”和諧号”を大々的に宣伝。運転開始当初は胡錦濤政権が掲げる和諧社会を意識して CRHの略称をChina Railway Harmonyと新聞などで宣伝していたが定着せずに結局はChina Railway High-speedの略称として定着する。
・車両はCRH1、CRH2、CRH5などがある。
CRH1 カナダのボンバルディアが開発。スウェーデンのレジーナが基になっている。
CRH2はJR東日本のE2系を元に製造されている。
CRH5はフランスのTGVを製造するアルストム社のベンドリーノが基になっている。
・車両の品質は最高レベルだが運行開始直後は乗客のマナーは最低だったが2008年現在はかなり改善されている。参考記事

Z列車

列車番号の頭にZが表記されており、Zは直達特快(直达特快)の略。Zは直達の拼音表記「zhídá」の頭文字である。
Z列車の特徴は以下の通りである。

・Z列車の特徴は出発駅から終着駅まで一部を除き停車駅のない直通列車である。
・客車には25T型が採用され、全客車空調完備である。
・大都市と大都市を夕方から夜に発車して翌朝から昼までに到着する列車で最高時速160kmの高速運転を実現している。
・設備、服務員の質ともに非常に高く、主に富裕層の人たちが利用するため安全面も向上している。
・2004年4月18日のダイヤ改正(第五次提速)で登場した。
・時刻表ではT列車と同じ特快列車に分類されている。

T列車


列車番号の頭にTが表記されており、Tは特快の略。Tは特快の拼音表記「tèkuài」の頭文字である。
T列車の特徴は以下の通りである。

・通常各省の省都もしくは運行地の大都市に停車する。
・採用されている車両は通常は25K型の青い客車(蓝皮车)であるが既に生産停止の車両であり、一部で25T、25Z、S25K、S25B、S25Zなどが採用され、全客車空調完備である。
・長距離から中距離を走る列車で停車駅は少ない。
・時刻表ではZ列車と同じ特快列車に分類されている。
・最高速度は140-160km。
・T1~T4000番台は鉄路局を跨ぐ長距離列車、T5001~T9998番台は1つの鉄路局内を走る短距離列車である。
・日本の特急列車に相当する。

K列車

列車番号の頭にKが表記されており、Kは快速旅客列車(快速旅客列车)の略。Kは快速の拼音表記「kuàisù」の頭文字である。
K列車の特徴は以下の通りである。

・大都市にも停車するが地方都市への停車が多い。
・採用されている車両は通常は25G型の赤い客車(红皮车)、25Bの空調付き車両であるが、わずかに22型、25B型がある。基本的に空調完備である。
・T列車と比べて停車駅が増えている。
・K1~K6000番台は鉄路局を跨ぐ長距離列車、それ以外はは1つの鉄路局内を走る短距離列車の模様。
・最高時速は120km。
・日本の急行列車に相当する。

普通旅客快車

列車番号(车次)が4桁の数字のみの列車で1000番台から5000番台の列車。普通旅客快車を略して「普快」と呼ばれている。
特徴は以下の通りである。

・農民工(出稼ぎ労働者)御用達列車である。
・切符はもちろん安い。
・乗客数が多い。
・列車によっては無座を乱発して埼京線以上の混雑になる。乗務員室にも客がいたりする。
・夜間の硬座車両は治安が悪い。
・最高時速は120km。

普通快速列車の中でも3つに区分されそれぞれ特徴がある。

列車番号1001-1998
3つ以上の鉄路局を跨ぐ普快。
特徴は以下の通りである。

・長距離列車である。
・普快の中でも乗客数が多い。
・比較的空調完備の列車がある。

列車番号2001-3998
2つの鉄路局を跨ぐ普快。
特徴は以下の通りである。

・中距離列車である。

列車番号4001-5998
1つの鉄路局管内のみで運行される管内普快。
特徴は以下の通りである。

・主要駅間を結び、間の小規模の駅に停車する。
・空調完備の車両は少ない。
・短距離列車である。

普通旅客慢車

列車番号(车次)が4桁の数字のみの列車で6000番台から7000番台の列車。普通旅客慢車を略して「普客」と呼ばれている。
特徴は以下の通りである。

列車番号6201-7598
列車番号6000番台以降であり停車駅が多く遅い列車である。
特徴としては以下の通りである。

・車両は22型(绿皮车)が基本である。ごくわずかに違う車両もあるらしい。
・最長所要時間はは7556/7557(ウルムチ-カシュガル)の32時間8分である。2009/4/1現在
・所要時間は5時間以下が比較的多く、10時間以上は少ない。
・地元民御用達の列車である。
・日本の各駅停車に相当。

通勤列車

列車番号(车次)が4桁の数字のみの列車で7000番台から8000番台の列車。
特徴は以下の通りである。

列車番号7601-8998
都市近郊を走る通勤列車で主に鉄道職員や沿線住民の通勤用に朝夕運行されている。運行距離が短いので完全に地元民用である。

L列車

列車番号の頭にLが表記されており、Lは臨時旅客列車(临时旅客列车)の略。Lは臨時の拼音表記「línshí」の頭文字である。
L列車の特徴は以下の通りである。

・主に春節、労働節、国慶節の民族大移動の時期に運行される。
・車両の種類は特に決まっていない。
・大部分が普快に相当する。
・春節に運行されるL列車は出稼ぎ専用列車で上級者向けである。
・時刻表には載っていない。

Y列車

列車番号の頭にYが表記されており、Yは臨時旅游列車(临时旅游列车)の游の拼音表記「yóu」の頭文字である。
Y列車の特徴は以下の通りである。

・主に春節、労働節、国慶節、夏休み、冬休み等の観光時期に運行される。
・L列車と同じく車両は決まっていない。
・時刻表には載っていない。

S列車

列車番号の頭にSが表記されており、北京市郊鉄路S2線で運行されている通勤列車である。
S列車の特徴は以下の通りである。

・北京北-延慶を結ぶS2線で運行されている。
・地下鉄やバスと同じように北京市政交通カードが利用できる。
・万里の長城への観光客が多数利用するので八達嶺までの利用客が多い。
・和諧長城号が運行されており車両は動力集中方式のNDJ3型
・通勤列車だが元々は北京オリンピックに合わせて観光列車のY列車として運行されていたので車両が新しい。

座席の種類

座席の種類には大きく分けて以下の種類がある。

硬座

・英語でHard seatと表記されるが、文字通り座席が固く、体力的にも精神的にもハードである。
・最も安い座席。
・基本はボックス席。
・夜間の乗車は注意が必要。
・基本は全席指定。
・無座の客も同じ車両を利用するので列車によっては大混雑になる。
・長距離移動だと体力・精神の消耗が激しいので稀に死人も出る。
列車内で急病人、車掌「終点まで我慢しなさい」で死亡

軟座(软座)

・座り心地は良い。
・通常は昼間運行される路線に限定される。
・比較的裕福な人たちが利用。
・日本のグリーン車に相当する。
・列車によっては一等軟座、二等軟座が存在する。

一等座

・G列車、D列車やC列車に採用されている座席。
・日本の新幹線のグリーン席に相当。

二等座

・G列車、D列車やC列車に採用されている座席。
・日本の新幹線の指定席に相当。

硬臥(硬卧)

・3段ベットになっている。
・仕切りやカーテンはない。
・人気が高く売り切れの場合がある。
・料金設定は上段(上铺)が一番安く、下段(下铺)が一番高い。
・乗車すると切符を换票证と交換して下車駅が近づくと車掌さんが换票证を切符に交換しに来る。これのおかげで寝過ごすことはない。
・日本のB寝台に相当する。

軟臥(软卧)

・2段ベットが2つの定員4人のコンパートメント。
・料金は硬臥の約2倍。
・料金は上段(上铺)が安く、下段(下铺)が高い。
・乗車すると切符を换票证と交換して下車駅が近づくと車掌さんが换票证を切符に交換しに来る。これのおかげで寝過ごすことはない。
・利用客が少なく車内は静か。
・主に富裕層と外国人が利用。
・日本のA寝台に相当する。

高包(高包)

・定員1人もしくは2人の個室寝台
・一部の列車に限定されている。
・富裕層、ビジネスマンと外国人が主に利用。

無座(无座)

・硬座の立ち席券。良くいえば自由席券。
・主に硬座の切符が買えなかった人や途中駅からの乗客たちが購入している。
・無座切符を乱発されると車内は大変なことに・・・。
・無座切符が乱発されなくてもどこからともなく切符の無い農民工が乗り込んでくる。
・無座の乗客で溢れた緑皮車を「民工车」と呼んでいる乗客もいる
・経験上、無座の利用は避けた方がよいです

空調と非空調

中国では列車に空調が付いているかいないかでも料金が大きく変わってきます。どれぐらい違うかというと倍近くの金額違います。といっても、最近はほとんど の列車には空調が付いています。非空調の列車のほとんどが普通快速列車と普通慢車です。残りはK列車とN列車の一部だけです。和諧号が運行する区間や広東 省周辺では非空調車は絶滅寸前です。

非空調は貧乏旅行には最適

非空調の列車の魅力は何といっても料金の安さです。長距離の移動ではその違いがはっきりと現れます。これはバックパッカーにとっては無視できません。しか し、最近は非空調の旧型車両は次々と引退というか駆逐されており数が少なくなってきています。とりあえず非空調の特徴を以下に挙げてみました。

非空調列車の特徴
・料金が安い(長距離になればなるほどその安さが分かる)
・料金が安いので民工(出稼ぎ労働者)御用達
・夏は車内が蒸し風呂状態で灼熱地獄
・暖房は付いているので冬は何とか大丈夫
・空調が無いので天井が高い
・車両は旧型車両
・窓が開けられるので景色の撮影をするのには最適
・和諧号の運行区間では運が良ければ250㎞/hで走行する和諧号と間近ですれ違うので今までに体験したことのない風圧に遭遇する。ペットボトルが吹き飛びます。
・上海、広州など大都市に停車する列車は民工で溢れている。
・車内がゴミ溜めと化していることが多い
・夜間は色々な意味で危ない

まあ、夏場は地獄です。実際夏場でなくても地獄です。5月に太原から平遥まで非空調のA列車(2009年3月末で廃止)に乗車しましたが車内はサウナでした。お金のある方は無理せずに空調のある列車を利用してください。